【2020年10月改正】予防接種について理解しよう

【2020年10月改正】予防接種について理解しよう

 様々な病気を防ぐための有効な手段とされるワクチン予防接種。現在摂取可能なワクチンは定期接種(国が接種を推奨しているため、無料で接種できる)・任意接種(任意のため自費での接種)を合わせると20種以上あり、摂取できる期間が数か月~1年程と限られているものもあるため、生後数か月から小学校入学までの間は特に、予防接種を受けるために何度も病院へ通っているという保護者の方も多いのではないでしょうか。 その予防接種の制度の一部が、2020年10月1日より変更されることになりました。変更点は大きく分けて2つ。1つは、ロタウイルス感染症の予防接種が、定期接種に含まれることになった点です。

ロタウイルス感染症とは

 ロタウイルス感染症とは、0歳~6歳ころの乳幼児が罹患しやすい急性胃腸炎です。ロタウイルスに感染することにより、嘔吐や下痢、発熱、腹痛などの症状を引き起こすこの感染症。実は、感染力が非常に強いため、5歳までにほとんどの小児が罹患すると言われている、比較的ポピュラーな病気です。しかし、ほとんどの子どもが感染するといっても、重症の場合、合併症による脳炎や脳症などを引き起こすほか、脱水症状によって死に至る可能性もあり、世界では約50万人の死亡者を出している恐ろしい病気です。しかも、一度感染すれば感染しないというものではなく、何度でも感染し、回数を重ねると重症化するリスクが高まるやっかいな感染症です。日本でも、毎年80万人程が感染しており、そのうち15~43人に1人が重症化によって入院、2~18人が死亡しているというデータもあります。(※国立感染症研究所による感染症発生動向調査より。)

ロタウイルスワクチン接種

 ロタウイルス感染症の重症化を防ぐ効果が期待できるワクチン接種ですが、効果を発揮するためには、複数回のワクチン接種が必要です。有効とされるワクチンは、ロタテック(要3回接種)とロタリックス(要2回接種)の2種類で、種類によって接種回数が異なりますが、効果は同様に認められています。 ロタウイルスワクチンの接種可能期間は、1回目は生後6週~生後14週6日まで、2回目は生後24週まで、3回目は生後32週までと非常に摂取可能期間が短いため、注意する必要があります。病院と相談し、早めに接種予約をしておくことがおすすめです。ロタウイルスワクチン接種後は、腸の一部が隣接する腸管に入り込む“腸重積症”のリスクが高まるという報告があるため、摂取後1~2週間は嘔吐や血便などの腸重積症の症状が無いか、注意しましょう。従来は任意接種のため、摂取には合計2万~3万円程度の自費負担が必要となっていたロタウイルスワクチンですが、2020年10月からは、ロタウイルスワクチンも定期接種に含まれるようになりました。大切なお子さんの命を守るためにも、ぜひ接種しましょう。

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接種間隔の変更

 2020年10月より変更となるもう1つの点が、摂取間隔です。予防接種をした後に「次は27日後から打てるようになります」と言われた経験のある方も多いかと思います。これは、他のワクチンを短い期間で接種することによってワクチン間に干渉が起こり、有効性の減少や安全性に影響を与える可能性があることから、ワクチン接種には6日ないし27日の接種間隔が設けられていることが多かったからです。 しかし、ロタウイルスワクチンの定期接種が決定したことを受け、接種が必要となる種類が増えたワクチンの接種機会を確保するため、接種間隔の見直しが検討されました。その結果、異なる注射生ワクチンの接種以外、諸外国では接種間隔を設けていない場合が多いことから、異なる注射生ワクチンの接種以外には接種間隔を設けないことが決定しました。 つまり、接種間隔が設けられるのは、MRや水痘、BCGなどの注射生ワクチンを接種した後、注射生ワクチンを接種する場合のみとなります。(※詳細は下記の図を参照)

今回新たに定期接種に加わったロタウイルスワクチンは経口生ワクチンですので、接種間隔無しで他のワクチンを接種することができます。ただし、接種間隔の制限が無くなったといっても、同一種類のワクチンを続けて接種する場合(Hibの次にHibを接種など)には、接種間隔が設けられています。また、複数のワクチンを同時接種することも可能ですが、医師が認めた場合のみ可能となります。

接種スケジュールを決めよう

 定期接種可能なワクチンが増え、安心できる反面、接種スケジュールの管理が必要となります。上記の接種間隔や接種可能期間など分かりにくい点も多いので、不安な方は病院で相談すると良いでしょう。大切なお子様の命を守るための予防接種。安全・確実に接種できるよう、きちんと計画を立てましょう。

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